新・さ迷える転職大変記 第12話 「そして減給、そして決意」

減給

またまた、かなり間が開いてしまったが、今回も唐突にいきなり始まる。書いていることがもう3年前くらいの出来事で記憶も薄れているし、転職について書く!みたいな気持ちも薄くなってしまっているような気がするが、こういうのは最後まで終わらせないといけない。

心療内科が終わって少しだけ気持ちが楽になっていた頃、転職活動を始めてから1年半くらいが経った年の初めである。年上の同僚が朝から上司に怒鳴られていた、大丈夫かなと思って夜に社内に誰もいなくなってから話しかけると、最近心療内科に通っていると言われる。彼は最近行き始めたようだ、私が心療内科に行っていた話をする。

お互い頑張りましょうねと言ってその日は帰ったが、彼も転職活動を始めているのだろう。私より年齢が5歳くらい上なので早いに越したことはない。

彼は営業職のため、上司の風圧を私より強く受けているようでかなり辛そうだった。

2人が辞めていき、新しい家に引っ越す

前に会社を辞めると私に相談してきた同僚が遂に会社を辞めることになった、彼女と同時期に入ったアルバイトの女性も結婚が決まったという理由だったが二人とも同じ日に辞めて行った。

私のほうが先に会社を辞めることを決心していたのに先に2人に辞められたこととなる。スピードを競っているわけではないが、2人が私より早く安全圏に逃れたように思え、取り残されたような気持ちが強くなる。

そんな中でも私の家の購入の話は順調に進み、遂に引っ越すこととなった。井の頭沿線から京王線沿線への引越しである。

あの精神状態で新しい家に引っ越すことができたのは私のおかげではなく、妻の頑張りのおかげであった。ありがとう。

でも、精神状態があまりよくない中で新しい街に引っ越すとなんというか心寒いというか不安な気持ちの方が強くなる。

今はそんなことないが、知らない街は誰もが私に冷たいような気がして、引っ越してきてすぐの日曜の午後に冷たい雨の中を1人で街を歩いて、不安な気持ちがすごく強くなった暗い思い出がある、引っ越してきた当時の私の気持ちはそんな感じだった。

「不安」、この先どうなるんだろうという気持ちである。

引っ越してきたのは春の始まりくらいの頃だったが、私の心は春とは程遠いような気分だった。

遂に減給

そしてなんと4月になって、我が社に新人が2人入ってきた。新卒の女性と男性である。

会社の経営がとても苦しいはずなのに大丈夫なのか?という空気が社員の間に色濃く流れるが、新人2人はそのようなことに気づかず、というかそんなこと言えないよ。

社内の空気は新人の教育どうすんだ?何を教えるんだ?みたいになる、つまり既にいる社員たちは新人を持て余す感じになった。

彼らを育てているヒマなんてないんだよという気持ちと、彼らに申し訳ない気持ちである。女性は営業、男性は開発に入ることとなった。しかし会社の余裕がないため、教育はかなりなおざりとなる。

つまりほっぽらかしである、先が見えない状況で後輩を教育するというのはかなり難しい、というか余裕がないんである。さらに先輩方つまり我々は彼らへのアドバイスが空虚なのを知っているのでろくなことが言えない。

常に「この会社で頑張るなら他の会社探したほうがいいよ」という言葉を飲み下しつつアドバイスなんてできるか!

私は会社のこと考えなくていいから自分の将来のために頑張れみたいなことを遠まわしに言っていたような気がする。まあ若いから私よりも何とかなるはず!と自分の良心をごまかしていた。

そして遂にその年の給与の改定に繋がる、4月の上司との面談がやってきた。

知っての通り会社の業績は悪い、だからみんなに飲んでもらいたいことがあるというようなことを言われた。

つまりは減給である、私は4万の減給である。上司からは「5万減給したいけど、4万でどうか?」と言われた。そしてその後上司が2万で頑張ってみると言われて、上司が社長と相談の結果3万の減給となった。

減給の理由は業績の悪化である、私の成績どうこうではない。金がないようなのである。

4月に新人を採った直後に減給となるのはかなり危ない、転職活動は前年の終わりにやって以来凍結していたが、家に帰って妻と相談してやはり本気で転職活動をしようと決めた。

辞めたいと思って転職活動をしていたが、まだ給料は下がっていなかったので本気度が低かった、しかし本当に転職しないとやばいという気持ちになってきた。

また2人辞めることに

その年の初めくらいに私に心療内科に行ってるんですと言ってきた年上の同僚が辞めることになった、さらにその前後にその同僚と同じ営業の女性も辞めることになった。

彼女は3年前に入ってきて逆境の中かなり頑張っていたが、みんなが減給となり会社に見切りをつけたのであろう。2人とも次が決まっての転職だったので清々しい顔をしていた。

心療内科に行っていた同僚は、一時はどうなるのかと思っていたが、寂しい気持ちも強かったが最悪の結果にならずホッとした。櫛が欠けるような感じで半年あまりで会社から4人の人間が去って行ったのである。

さらにこのまま売り上げが上がらないと8月に会社のお金がショートすると聞かされる、半分脅しもあるかもしれないが、これはやばい。

私も、もうホントに後がないという感じなってきた。

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