- 書名:『ご先祖様はどちらさま』
- 著者:高橋秀実
- ISBN:978-4101335568
- 刊行日:2014/9/1
- 価格:520円(税別)
- 発行:新潮文庫
- ページ数:274
- 形態:文庫
現在も私の転職活動は絶賛進行中である。
10日ほど前に同僚がリストラされ辞めていった。
彼の業務がすべて私の業務となった。
その同僚がいる時は仕事をサボって面接に行ったりもできたのだが、細切れの、でもやらなくてはならない電話対応やら発送業務やらサポート業務が回ってきて大変である。
モチベーションもあがるはずもなく、どんよりとした気分で日々過ごしている。
会社は今年いっぱいは給料が出るようだが、来年はよくわからない。
わが社のお金の流れの話を聞くたびに、これではダメだろうという思いが強くなっている。
昼休みになると弁当を自分の席で素早く食べて、会社のイヤな雰囲気から一刻も早く抜け出し、近所の神社の境内に座り、スマホで転職サイトの情報を指でクイックイッとしている。
まだ会社にその同僚がいる時にプログラマの面接に行った。
しかし、給料面で折り合わず破談となった。
ネックはとにかく給料面である。
結婚していて子供がいて、現状で妻が専業主婦となると、給料の額は今より落とせない。
現状で私の自由になる1か月のお小遣いはちょうど1万円なのだが、1万円月給が下がると、私のお小遣いはゼロとなる。
家族貯金などを削ればいいと思うのだが、なんつーか、それは言えない。
意地なのかなんなのか。
高橋秀実は毎回面白いテーマで文章を書いているが、本書は自分の先祖に興味を持ち、そのルーツをなんとかたどってみたら高貴な血筋にたどりついた、というお話である。
自分の両親は2人、祖父母は4人、その前の世代は8人、16人と4世代辿っただけでご先祖は倍々に増えていき、30世代遡ると1,073,741,824人(10億人!)となる。
さらに、これは30世代目だけの数だから、1から29世代目を含めるともっと多い。
だから自分のご先祖になんらかの高貴な血が入っているのは当たり前なのである。
それだけのご先祖様がいることを考えると転職して給料が下がるかもみたいな話は米粒みたいなもんなのであり、転職などどうでもいいし、1万円給料が下がっても別に誰も悲しまないし、そんなの気にするなみたいな気持ちになるが、やはり私自身は十億とか何百億という数のうちの一つの米粒であり、米粒は米粒なりの悩みがあるから、さあ大変だ。