怪しいからこそやめられない『日本競馬 闇の戦後史』

競馬場

  • 書名:『日本競馬 闇の戦後史』
  • 著者:渡辺敬一郎
  • ISBN: 978-4062811569
  • 刊行日:2007年11月21日
  • 発行:講談社+α文庫
  • ページ数:336
  • 形態:文庫

普段なら私にとっては聞き慣れない名前である講談社+アルファ文庫の本を買う事はないのだが、「闇の戦後史」というコトバに魅かれて買ってみたのが本書。

闇の戦後史であるから、どのような生々しくて恐ろしい真実が書かれているのかと思ったが、何の事はない、おじさんの戦後競馬の回顧録である。

驚愕の新事実などは特に無いのだが、私の知らない戦後の競馬(私は1990年代からしか知らない)のお話はなかなかに興味深い。

特にこの本の面白さは八百長のお話と、ノミ屋(私設馬券屋、もちろん違法)のお話である。

競馬がまだ市民権を得ておらず、スポーツではなくギャンブルだった時代のニオイを感じることが出来る。

現在、馬券売り場に並びもせずに、家で悠々とネット馬券を買っている私には感じることの出来ない競馬のお話である。

しかし気になることがある。

この本には誤植なのかもしれないが、事実とは違うのではないか?という部分があるのである。講談社+アルファ文庫の「+アルファ」の部分は誤植や間違いの「+アルファ」なのではないかと意地悪な事を考えてしまう。

私の買ったのは第2刷だが、次に刷る時は直した方がいいんでないのかと思う。

競馬には常に八百長疑惑がついてまわる、基本的には競馬関係者は馬券を買うことができないという決まりなので、八百長は起きない、ということにはなっているが、競馬関係者が友人やら知人に馬券を買ってもらったらその前提はあいまいになる。

八百長でよくやるらしいのが、グリグリの本命馬をビリッけつにして、それに次ぐ馬たちを故意に勝たせるというもので、本命馬と二番手の馬の騎手を抱きこんでしまえば結構簡単にできるようである。

もちろんその騎手を抱きこむにはその騎手を脅したり、借金まみれにしたりという前工作が必要なようではある。

昔の地方競馬ではそういうことが結構あったらしい。

八百長ではないのだが、目標となるG1レースの前哨戦などで人気の実績馬が調教代わりにレースに出て適当に走って負けたりすると、騎手が故意に負けさせたのではないか?みたいな疑惑が浮上することがある。

そういう場合は、馬券を買っている人には非常に迷惑なので出馬表には「調整」とか「調教代わり」などという表記をしてほしいことがある。

つーか金返せ!

などと言いつつ毎週馬券を買っているので私も懲りない、なんつーかそのあいまいで怪しい部分も競馬の魅力なのである。

って何を言いたいのかわからなくなったが、とにかく今年も競馬を頑張るぞ!と思ったのだ。