- 書名:『競馬漂流記 では、また、世界のどこかの観客席で』
- 著者:高橋源一郎
- ISBN:978-4087451191
- 刊行日:2013/09/20
- 価格:720円(税抜)
- 発行:集英社
- 形態:文庫
元本は1996年12月刊行となっているので、ここ10年くらいの競馬界の変化については触れられていないが、サンデーサイレンスという化け物が登場する直前の日本競馬界とその周辺の変化の兆しと胎動みたいなものが書かれていて楽しい。
高橋源一郎は世界中の競馬場を訪れてエプソムダービー、凱旋門賞、ケンタッキーダービー、ドバイワールドカップなど見まくる。競馬ファンから見ると非常にうらやましい。
だが出色はアハルテケ(汗血馬)のレースをトルクメニスタンまで見に行くくだりであろう。
アハルテケは黄金の馬と言われているのだが、実際に馬が黄金に輝く瞬間を目撃するのだ・・・
高橋源一郎は競馬関連の雑誌などに登場していたので競馬関係の人だと思っていたが、どうも小説家らしく色々と小説もだしているらしいが、まだ読んだ事がない。
あとがきを読んでビックリしたのだが、著者は1995年あたりから競馬場にはほとんど行っていないというのだ。
1995年はサンデーサイレンスの子供が勝ちまくるサンデーサイレンス旋風が吹き荒れて、日本競馬に革命が起こった年であり、それ以降数々のサンデーサイレンスの血が入ったスーパーホースが現れている。
フジキセキ、スペシャルウィーク、サイレンススズカ、ステイゴールド、アグネスタキオン、ディープインパクト、アドマイヤムーン、ハーツクライ、シーザリオ、デルタブルー ス、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、アパパネ、ヴィクトワールピサ、ジェンティルドンナ、オルフェーヴルなど近年のスーパーホースのほとんどにサンデーサイレンスの血が入っている。
今では日本の馬が海外でG1レースを勝つのは珍しいことではなくなったし、凱旋門賞ももうすぐ勝てそうだ。
その成功を知っているのか知らないのかわからないが、この状況を知って高橋源一郎はどう思うのだろか。