- 書名:『おくうたま』
- 写真:岩井三四二
- ISBN: 978-4334765996
- 刊行日:2013年7月10日
- 価格:781円(税抜)
- 発行:光文社文庫
- ページ数:469
- 形態:文庫
去年の終わりに転職がやっと決まり2月の始めに7年務めた会社を辞め、次の日に新しい会社に入社した。
新しい職場になって2週間経ったが、電話サポート応対や出荷業務などに追われず、自分のデザインと開発の仕事に打ち込める環境でとても気持ちよく仕事ができている。
会社の会議にも参加したが、前の会社よりも意見が飛び交いみんな笑顔。
当たり前だが会社が替われば、環境も替わるし仕事の内容も進め方も違うものになる、だから気持ちも変わる。
今のいい気持ちがどれくらい長く続くのかはわからないが、いい気持ちで仕事を進めていかなくてはならないと強くまじめに思う今日この頃なのだ。
転職活動は長かった、でも転職してしまうとその時の記憶や気持ちも遠い彼方に行ってしまう、ずっと転職活動している時の気持ちを引きずっていてもしょうがないが、転職先の決まらない不安感やいらだちの記憶は忘れない方がいいはずだ。
本書は織田信長に攻め落とされそうになっている浅井家の小谷城から浅井長政の庶子である喜十郎が逃れ、京都の瑞石という医師(くすし)のもとに匿われることから話が始まる。
浅井家の復興を目指しながら、瑞石と共に患者を求めて戦場に赴く喜十郎。
浅井家の復興は果たしてできるのであろうか?という流れのお話である。
ラストは、やはりなという展開でベタだなと思いながらも少し目頭が熱くなってしまった。
運命に翻弄されつつも自分の運命を切りひらいていく、と書くとあまりにもベタな表現だが、転職活動で色々な会社の思惑に翻弄されていた私がやっと転職を決めたという事情とも重なり感慨深い読書であったのだ。