潔癖症は大変

床にモノが落ちるとアルコール除菌のティッシュで拭く。

友達が帰った後、ゲームのコントローラをアルコール除菌のティッシュで拭く。

コンビニで買ってきた雑誌も家に着いたらすぐにアルコール除菌のティッシュで拭く。

床に落ちたものを拾ったとか、少し汚れが付いたなと思っただけで石鹸で手を洗い、新しいタオルで手を拭きそのタオルを洗濯カゴに放り込む。

1日で洗濯カゴは溢れ、手は石鹸の残りかすで真っ白になる。

コロナウィルスの影響でアルコール除菌のウェットティッシュが店から無くなるはるか以前に私は大量のアルコール除菌ティッシュで家の中を拭きまくり、手を洗いまくっていた。

それが始まったのは登校拒否になった中学2年生の時だ。

当時は潔癖症という言葉自体あまり一般的ではなかったと思う、いや、一般的だったかもしれないが、私はその言葉をよく知らなかった。

ただ自分がちょっとイっちゃってるなという感覚はあり、家族を除く人前ではアルコール除菌のティッシュで何かを拭くというのは見られたら恥ずかしい行為だと思っていた。

自分の変な性癖を見られるようなそういう恥ずかしさである。

自分は少し汚いものにも耐えることのできない、弱い人間であると思っていた。

だからそれを人に見せることが怖かったし、自分の潔癖症は治さなくてはならないものだった。

電車のつり革にも掴まれなかったし、外でトイレに入れなかった、宿泊施設の風呂などもできれば入りたくなかった。

おしっこは何とかできたが、うんちをしたくなると家まで我慢、というのが30歳になるくらいまで続いた。

つまり自宅を出て外で活動をしていく際に困ることがたくさんあった。

このままではヤバイと思ってはいたのでアルコール除菌のティッシュの使用は少しずつ減らし、石鹸で手を洗うのも少しずつ減らしていった。

やっとなんとか外出先でもうんちができるようになったときはかなり感慨深かった。

潔癖症がひどいままではまともな人間になれないと強く信じていたので、なんというか大人になった、というか、やっと普通な人間になった!と、トイレの個室で一人で感動した。

新型コロナウィルスの影響が今後どうなるかはわからないが、今回の一件でアルコール除菌と手洗いに目覚めちゃう人に教えたいのはやめるのがとても大変ということである。

頻度は減ったがいまだにこっそりアルコール除菌ティッシュでいろいろ拭いているよ、私は。

拭かなきゃいけないと思っちゃうと、ずっとそのことが頭の中に残る、結構疲れるんだ。