上司の嫉妬は怖い 『朝の霧』

asanokiri

  • 書名:『朝の霧』
  • 著者:山本一力
  • ISBN: 978-4167901806
  • 刊行日:2014年9月10日
  • 価格:500円(税別)
  • 発行:文春文庫
  • ページ数:266
  • 形態:文庫

本作の主人公は波川清宗(玄蕃)、戦国時代の長宗我部氏に仕えた武将である。初めて聞く名前なのでWikipediaで調べてみると、生年不明で1582年1月12日没とあり、Wikipediaにあるその生涯の記述は非常に少ない。

Wikipediaの記述は以下の通り。

土佐国高岡郡(現在は吾川郡)の波川城主で、長宗我部国親に側近として仕えた。一条兼定を滅ぼした功で、国親の娘(長宗我部元親の妹)を正室に迎え入れ一門衆となる。その後も、国親の子・元親の四国統一に貢献して、幡多郡山路城主となった。

しかし、伊予国河野氏から寝返ってきた大野直之を援護するために派兵された際に、河野氏の援軍に訪れた小早川隆景軍と独断で和睦を結び、直之を見捨てて退却するなど失政を犯したため、蟄居させられる。その不満から天正8年(1580年)に反乱を企んだが露見し、阿波国へ逃れたが結局は自刃して果てた。

なお、子の波川清久は殺されずに、波川氏幕末まで続いた。

(Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/波川清宗 より引用)

何でこんなに記述が少ないのかの理由は明白で、1580年に反乱を企てたからである。実際に反乱をする意志があったかどうかはわからないが、反乱が失敗したのであれば鎮圧した側(長宗我部氏)が好きなように理由を書く。

誰かに陥れられてやむを得ず反乱という形になってしまったのかもしれないし、全くの濡れ衣で反乱という罪をなすりつけられたのかもしれない。

本書では波川清宗は上司である長宗我部元親の嫉妬により失脚させられたという立場を取り、夫婦ともにその悲劇に向かっていく様が書かれている。

南国土佐を舞台にしているが、タイトルである「朝の霧」という名前が暗示するように、結構暗い話であり、太陽キラキラという感じではない。

帯には「夫婦愛」、「感涙の時代長編」とか書かれているが、夫婦が最後に逃亡先で楽しく暮らすということでもないのでなんか夫婦愛とか感涙というのとはちょっと違う。

重くズッシリとくる読書であった、なんだろう岩でできたチョコレートを食べたらこんな風に感じるのだろうか。

私の勤めている会社には課長や部長がおらず私の上司は社長ということになるのだが、社長から毎日嫉妬の目を向けられたら怖いっつーか会社辞めるよ。

で戦国時代の武将はそう簡単に会社辞めますとは言えず、自分の属する地域の共同体全体でお殿様に付き従っているような関係なのでそんなことは言えるわけない、いや言えるんだけどその場合は戦争になるのである・・・

私は戦国武将ではなくてよかったと思った読書だったのである。