ウルトラ電車

  • 書名: 『昭和電車少年』
  • 著者: 実相寺昭雄
  • ISBN: 978-4167656683
  • 刊行日: 2008年5月8日
  • 発行: ちくま文庫
  • 価格: -
  • ページ数: 383
  • 形態: 文庫

テレビのウルトラマンや映画『帝都物語』(原作:荒俣宏)の監督をした実相寺昭雄の電車に関するエッセイをまとめたのが本書。

彼の名は私の勉強不足のためか今まで知らなかったが、ウルトラマンの演出をやっていたようなので、私も彼の作品をテレビで観た事があるはずである。

この本では戦前から昭和後期にかけて日本を走っていた電車、機関車、路面電車についての熱い想いが語られている。

彼が言うには専門的な話ではないそうだが、あまり電車の名前を知らない私から言わせれば、キハ、モハ、デハなどの列車の型名が出てくるので十分専門的というかマニアックである。

しかしマニアックな話にありがちな、知識および情報をひけらかす感はなく、鉄道おじさんの話す興味深いお話という感じで読みにくいとは思わなかった。

数十年前まで東京を走っていた市電(都電、路面電車)とその風景の描写は、現在の東京の風景とはかけ離れていて、現在に至るまで東京でも路面電車が何本も走っていてくれたらさぞ楽しかっただろうなという気持ちが読者にも乗り移る。

新宿駅周辺の風景も今とは全然違ったらしい、なんと京王線が道路を走っていたそうなのだ。

そういえば私の地元・吉祥寺駅の井の頭線の改札口も昔は違うところにあったし、1980年代(昭和60年前後くらい?)の井の頭公園駅は構内に踏み切りがあったよな(たしか)、なんて事も思い出した。

東京の街の風景は激変しているというが、この本を読んで我が町の亡き風景に想いを馳せるのもいいかもしれない。

実相寺さんに感化されたわけではないが(やっぱり感化されたのかな)、路面電車がたくさん復活して東京の道路を走ってくれたらさぞ楽しいだろうなと思う。

ちなみに現在東京を走っている路面電車に近い電車は、都電荒川線と東急世田谷線です。

乗ってみると結構楽しいです。