獄中記はやっぱり面白い 『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。』

逮捕

  • 書名:『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。』
  • 著者:島村英紀
  • ISBN:978-4062758673
  • 刊行日:2007年10月16日
  • 発行:講談社文庫
  • ページ数:320
  • 形態:文庫

常々獄中記に外れは無いと思っているが、本書もその例に漏れない。筆者の島村英紀は詐欺罪で北海道地検より逮捕・起訴され、札幌拘置所に拘留されることになる。

制限された状況に人間が入れられる、そうすると神経や考えが研ぎ澄まされるのだ、たぶん。

獄中記にはただただ日々の食べ物の事が書かれてあったり、隣の独房に入っている人の事を想像したり、と拘置所での生活がただただ綴られているだけなのになんで面白いのだろう。

たぶん、拘置所や刑務所は私のように一度も入ったこともない人間にとっては異世界であるのだ、つまりSFなのだ。

この、島村英紀さんは地震学者なので気象庁の観測船に乗ったり、南極に行ったりしている、その極地の生活より、よほど拘置所の方が住み易いと言っているのが興味深い。

詐欺罪に関する部分の説明もあるが、面白いのは獄中の描写。

誰でもいつでも拘置所に拘留される可能性はあるので、読んでおいてソンはない本だ。

※本の中で2006年のサッカーワールドカップに言及している部分があって、そのワールドカップがフランス大会だと言っているのだが、ドイツ大会である。揚げ足取りのようでイヤだが、ちょっと気になった。